私的感想:本/映画

映画や本の感想の個人的備忘録。ネタばれあり。

「椿三十郎」

2007-12-03 21:31:07 | 映画(た行)

2007年度作品。日本映画。
黒澤明の代表作のひとつをリメイク。
朽ちた社殿に集まった若侍たちは次席家老の汚職を糾弾するために今後の打ち合わせをしていた。大目付に話を聞いてもらえそうだという話に盛り上がる彼らだが、その話を聞いていた浪人は大目付こそ怪しいと言う。その後、社殿は大目付に襲われたが、浪人の機転で難を逃れる。浪人は若侍たちの行動に手を貸すこととなる。
監督は「阿修羅のごとく」の森田芳光。
出演は「踊る大捜査線」の織田裕二、「八つ墓村」の豊川悦司 ら。


既存の映画をリメイクすることにどれだけの意味があるのだろう?
それに対して人それぞれ意見はあろうが、少なくとも優れた作品が映画として存在しているのならば、あえて同じ土俵に立つ必要などないと僕は思っている。単純に古い方を見ればいいだけの話だからだ。
このリメイク版を見ている時点で、その意見に説得力はないかもしれないけれど。

本作は黒澤の代表作のひとつのリメイクである。古い記憶なので心許ないがおおむねオリジナルに忠実であったと思う。
オリジナル同様、エピソードは起伏に富んで盛り上がりがあるし、そこそこ笑いもあるし、殺陣のシーンは素直にカッコいい、と思える。
早い話、おもしろい。しかしこの作品がおもしろいのは森田芳光のおかげではない。黒澤のオリジナルが優れているからだ。

森田版の「椿三十郎」は冒険をしていない。
独自の視点で描いたり、独自のエピソードやシーンを追加しているわけではない。あくまでオリジナルのストーリーをなぞり、それを画面におさめているだけだ。そのせいかは知らないが織田裕二の演技も三船の真似をしているように見えてしまう。
あからさまに違うのはラストの対決のシーンくらいだろう。120分の作品もあるのに変化があるのはそれだけだ。

既存の映画をリメイクした作品のひとつに「ディパーテッド」がある。僕はあの作品を素直に評価できなかったが、それでも「ディパーテッド」はしっかり冒険していて、独自色を出そうという努力はしていた。
リメイクをする以上、それくらいのことをするのがオリジナルに対する礼儀ではないだろうか? 森田版の方もそれくらいのことはしてほしかったと僕は思う。
映画自体、おもしろかったのは事実だが、あえて星ひとつ下げて4点としたい。

評価:★★★★(満点は★★★★★)


制作者・出演者の関連作品感想:
・森田芳光監督作
 「間宮兄弟」
・豊川悦司出演作
 「日本沈没」
 「フラガール」
・松山ケンイチ出演作
 「男たちの大和/YAMATO」
 「DEATH NOTE デスノート 前編」
 「DEATH NOTE デスノート the Last name」

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